『本屋』は死なない

遅ればせながら、「『本屋』は死なない」読了。

読まないほうがいいよ、と言ってくれた友人も居ましたが、私は読んでよかったと思いました。
本書の中で当社のお店は顔の見えない、金太郎飴のような書店の扱いを受けています。 友人は、不快になるから読まないほうがいいというニュアンスで提言してくれたのだと思います。

少し話が飛びますが、先日、集英社文庫の説明会の席で、啓文社の児玉さんとお話しする機会を頂きました。 そのとき、児玉さんが「本書に関して気にすることないし、(当社)は独自にランキングを作ったり、棚の工夫をしています。全然無個性な店ではありませんよ」 と仰っていただいて大変心強く感じました。
正直、(当社)のくだりを読んでもそれほど腹も立たなかったです。それは、昔から言われてきたことだし、 働いている方の多くが創意工夫を凝らして、地元に合った品ぞろえを意識しているのを知っているからです。

内容については色々な方が感想を述べているので割愛しますが、個人的には意外と楽しんで読めました。
ひとつは今まで読んできた出版業界物の本や著者、著名な書店員の皆さんが意外なほど繋がっていたことを知ったから。 そもそも私が無知なだけだっただけで、読了後は、自室の本棚にあるいくつかの業界の本は同窓会の様相を呈してきました。 そこが面白かった。
もうひとつ、直接の知り合いの方々が何人も描かれていて、その方々の仕事に対する真摯な姿勢が目に浮かんだことがよかった。

書店には色々な立ち位置があるので、本書で取り上げられているような著者の言ういわゆる『本屋』が正しくて、そのほかの書店が『悪』とは一概に言えないと思います。なぜなら読者・本を利用する人の考え方がみんな一律ではないから。