サクリファイス

サクリファイス

今年の本屋大賞の中でも前評判の高いサクリファイス読了。キノベスでも2007年度堂々1位のこの作品、あちこちで絶賛されていたが故、あえて読まずに居たのですが本屋大賞ノミネートされたことで手を伸ばす。
私も普段自転車にも乗るけれど、ロードレースの世界はまったく知らなくて、そこには常人たちには分からない暗黙のルールのようなものが存在する。それは相手を尊重し、利己よりも利他を追及する崇高なルールだ。
主人公は物語の主役ではあるが、その世界のリーダーではないし、ずば抜けたヒーローでもない。チームのために必死になってエースをアシストする役だ。
主人公に関わる人物全てが純粋なまでに人間臭く、ときに泥臭く描かれている。後半物語に衝撃が走るが、それすら彼らにとっての日常だということに胸が熱くなる。
魂を揺さぶる1冊だ。