最近読んだ本

レヴォリューション No.3 (角川文庫)

レヴォリューション No.3 (角川文庫)

言わずと知れた金城一紀『ザ・ゾンビーズ』シリーズ第1弾。落ちこぼれ男子高校生たちが近所のお嬢様女子高の学園祭に乗り込む表題作ほか、語り手である南方が学園祭の襲撃事件をきっかけに付き合うことになった彼女と、男同士の友情とを天秤に掛け、最後にはどちらも手に入れてしまう「ラン、ボーイズ、ラン」、ゾンビーズのメンバーである友人から、ストーカー被害にあっている美女の護衛を任される「異教徒たちの踊り」の計3篇。
この作品の最大の魅力はテンポの良さで、登場人物たちの掛け合いが非常に小気味よいです。学生時代独特の軽さがあって、しかし彼らは根がまっすぐであまりにも仲間思いの「いい奴ら」なので、読後感が晴れ晴れとします。

どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町

都心から少し離れたところにある商店街を舞台にした連作短編小説集。
川上弘美さんの作品は好んで読むのですが、大抵のお話はさばさばとした文章の中に大人の色気を感じます。今作品も大人同士の秘密を覗き見するような感覚に陥りました。
短編集なのでひとつひとつのお話の主人公は違います。しかし、同じ商店街で様々な場面で他の話の短編の主人公と関わってきます。まるでその商店街、或いは『街』が主役であるかのようです。
しかし、最後まで読み切ったときはじめてこの話の主人公が誰だったかが分かります。