安楽椅子探偵

トーキョー・プリズン (角川文庫)

トーキョー・プリズン (角川文庫)

ジョーカーゲームがスマッシュヒットした柳広司氏の作品。戦後間もない巣鴨プリズンが舞台の推理小説です。
主人公はニュージーランドから来た私立探偵のフェアフィールドと、巣鴨プリズン内の囚人貴島悟。貴島は記憶喪失になっており、戦中の記憶が飛んでいた。どうやら彼は捕虜虐殺の容疑がかけられているらしいが、記憶喪失のため裁判が出来ずにいる。フェアフィールドは彼の記憶を取り戻すことを条件に、自身に依頼された人探しのため、巣鴨プリズンに自由に入館できるようになったのだが。。。
物語はフェアフィールドを中心に場面が動きます。逆に貴島は独房の中で推理し、フェアフィールドが得てきた情報を分析していきます。貴島はまるで安楽椅子探偵です。
頭脳明晰なフェアフィールドをも凌駕する貴島の推理力、洞察力は並外れたものではなく、しかし突飛な発想ではない。
読み進めていく折、常に納得しつつ話が進むので、一気に読み終えました。ラストのどんでん返しはなかなか秀逸です。