本屋に居て面白いと感じる瞬間のひとつに、自分のお奨めしている本を自分で売ったときがあると思います。
例えば思い入れ込めて造ったPOPを読んでくれてる人が居て、そのままレジに持ってきてくれたときとか。例えば自分で大量に仕入れて仕掛けた本が売れたときとか。
本屋に居て何が嬉しいって、買ってくれたお客さんは別に義理で買ってくれたわけではなく、その本にお金と時間を掛ける価値を見出してくれたから買ってくれるのだと思います。
で、なんでこんな話をするかというと、今日接客したお客さんの中で文庫2冊とガイドブックを合わせて買っていった方が居て、3冊とも私が持っている本だったからなんです。文庫2冊は売れ筋だったのにそのガイドブックまでセットだと、私がお勧めした本は全部買っていってくれるんじゃないかと思った瞬間でした。
普段あまり本を読まない方が本を読もうと本屋に寄ったとき、正直何を読んだらその人にとって得なのか分からないかもしれません。そんな方向けに我々は目立つ場所で展開したり、ボリュームを出したりPOPをつけたりします。当然自分でPOPをつけた本を買ってくれたときが一番嬉しかったりします。
カリスマ書店員さんと呼ばれる人たちにはきっとそれぞれファンが居て、ファンの人たちは「○○さんが紹介した本だから買うんだ」と手に取ることも多い筈。
最近ようやく当店でも、それぞれのスタッフが自分のお奨めする本を明確に打ち出せるようになってきました。
今当店独自のロングセラーになりつつある文庫がこちら。

失格社員 (新潮文庫)

失格社員 (新潮文庫)

面白いように売れていきます。文庫担当のAくんが見つけてきました。あんまり他の本屋で平積みされているのを見たことがありません。サラリーマンが多い街だからかもしれません。この本のように自店での金脈を探すのは楽しい作業です。
私も担当している文芸書の棚はお奨めの本ばかりです。売場が狭いのでもちろん売れ筋も外しては居ませんが、本好きの方が楽しいと思える棚になるよう努力しています。
先にも書きましたが書店員やっていて理想は自分のPOP見て買ったお客さんが、次も私が選んだ本を買ってもらえたら、かなり個人的なエゴかもしれませんがそれはとても嬉しいことだと思います。
そういえば先週、本屋大賞ノミネート作品を自作のPOPつけて棚のアイラインで展開したら、今まであまり動かなかった本も売れ出しました。書店員はお店に来るお客さんと良質な本の仲介人ですよね。
あ、ゴールデンスランバーが欠品してる。。棚を埋めとかなければ。。。