本屋大賞

出星前夜

出星前夜

8作目読了。質、量ともに厚みのある大作にノックアウト状態です。『ベルカ、吠えないのか』に負けそうになった2006年本屋大賞の苦い思い出が蘇ります。
高校の時に世界史を専攻していてそもそも日本史に疎いので、島原の乱についてであるとか、江戸時代の市井についてであるとか、バックボーンが乏しい状態で読んでいて、感情移入がしにくかったのが正直なところです。また、物語が事実を基にした小説だったとしても、「全部事実だからこう書くしかなかったもんね」という感じにこちらに伝わってきた(少なくとも私はそう感じました)ので、じゃあ教科書読んでるのと変わらないのではと思いました。
あまり感情移入が出来なかったのは私の感受性の問題かもしれません。物語の背景や人物像などが歴史小説不慣れな方向けに用意されていたらもう少し読みやすかったかもしれません。物語の後半の舞台は、様々な武将や地形の呼び名が頻繁に交差しますが、正直イメージや繋がりが維持できていなかったですから。