尾道坂道書店事件簿

尾道坂道書店事件簿

ようやく読了。広島県でチェーン展開している啓文社という書店の現役書店員である児玉憲宗さんのWeb連載を書籍化した1冊。
児玉さんは書店員歴20年の大先輩です。そして彼の特徴として車いすでの生活をしているということ。児玉さんの凄いところは車いす生活が決してハンデではなくあくまで一個性であるということ。
この本には、都会ではなく地方での書店員としてできることは何なのか、たくさんのヒントが詰まってます。
本文の中の引用として、「人は本が欲しくて本を買いに来るのではない。」とあります。もともとは『花を売らない花売り娘の物語』という本の「人は花が欲しくて花を買いに来たのではない」という一文からなぞらえています。
私のいる店舗では、新しく採用したスタッフは売場に出る前に必ずガイダンスを行います。そのガイダンス資料の中にも似たような内容が盛り込まれています。
我々が商品を提供することで、お客様が家で、学校で、職場で、様々な場所で有意義に自分らしいライフスタイルを満喫できるよう、お手伝いするのが我々の仕事であると。だから我々はただ商品を売っているのではなく、お客様がお店から出て、有意義な時間を過ごす、その時間を売っているんですよと。


児玉さんは、おそらく過去の本屋大賞発表会の場でお見かけしている方だと思います。ご本人は穏やかな、こう言うと御幣のある言い方になりますが、恵比寿様のような雰囲気の方だったと覚えています。今年も参加されるようでしたら是非、この本を持ってお話を伺いたいと思っています。